1996~97年に朝刊に掲載した138回続きの連載「オリザの環(わ)」を覚えておられるだろうか。オリザはコメのラテン語学名。河北新報取材団が24カ国の稲作現場を巡ってルポし、コメが育む人の環を伝えた。
 連載と並行し、世界で撮影してきた写真のパネル展を宮城県内各地や岩手、山形県で98年まで開いた。
 時が流れ、ここ数年は写真パネルを思い出すことも少なくなっていた。昨年秋、宮城県北の小学校教員Oさんから、「授業で使いたいのですが…」と思いがけない連絡をもらった。
 探してみたが、ずっと管理してくれていたと思われる取材団員の1人S先輩が5年半前に病気で亡くなったこともあり、所在が分からない。社内の倉庫で見つかった時はうれしかった。Oさんに貸し出し、1月下旬に授業が行われた。
 一枚一枚箱から出してみた写真パネルは、色あせることもなく、世界の稲作農家の表情が輝いていた。
 Oさんから頂いた学級通信からは、子どもたちが大いに関心を持ってくれたことが伝わってきた。長い時を経て再び新たな広がりを見せたオリザの環。S先輩も喜んでいると思う。
(報道部長代理 松田博英)