にきびができた頃、ドクダミの葉を煎じたお茶を毎日飲むように親から勧められた。でも、癖のある臭いと味には慣れなかった。四十数年前の話だ。
 アニメの「アンパンマン」でドクダミを育てるキャラクターを見て、古い記憶がよみがえった。まさか幼児向けの番組でドクダミにお目に掛かるとは…。
 命を支えるのは食べ物しかないと、食べることに重点を置いた話はアンパンマンの原点。元々は大人向けの童話だったそうだ。作者の故やなせたかしさんの著書『絶望の隣は希望です!』で由来を知った。
 元祖アンパンマンは太ったおじさんで、戦地へ赴き子どもたちにあんパンを届けるという物語。戦争で罪なき大勢の民が亡くなる現実を捉え、自分の身を犠牲にして飢えた人を助けるヒーロー。「正義とは何か」を問うた漫画だ。
 弱者の自己責任が強調される昨今、富や権力を握る強者の社会的責任も、十分果たしてほしいと改めて思う。やなせさんが伝えるもう一つのメッセージは「共生」。敵味方のバランスが取れている状態が健全な国家と説く。その願いを世界に向けたい。(生活文化部次長 芳賀紀行)