長崎の「茂木ビワゼリー」、福岡の「めんべい」、富山の「月世界」。出張先で知った銘菓だ。同じく旅先で出合い、食卓に欠かせなくなった逸品がある。
 高知県馬路村農協の「ぽん酢しょうゆ ゆずの村」がそれ。みやぎ国体前年の2000年、開催地優勝に固執せずと宣言した高知県を取材で訪れた際、地元紙のKさんから勧められた。
 ユズとかつおだしが醸しだすハーモニーは絶妙で、大げさでなく「衝撃」を受けた。鍋に生カキ、冷ややっこ。一年中、重宝する。
 村は人口900人。森林率96%。唯一の換金農作物がユズだった。だが仕事は収穫期の晩秋のみ。ゆず酢の多くは大手メーカーへ。「だったら産地でぽん酢を造ろう」。1986年、小さな挑戦が始まった。応援したくなるではないか。
 いまや関連商品も含めて年商30億円。日本経済新聞1月14日のブランドぽん酢ランキングでは1位に。宮城県内の取扱店も増えた。
 村にはかつて営林署が二つあり、「外の人の話に耳を傾ける素地があって、発想が柔軟だったから成長した」とKさん。高知県庁から車で2時間。いつか行ってみたい。
(整理部次長 村上朋弘)