「治安法案は断然提出」「條文(じょうぶん)は明瞭 無暗(むやみ)に適用することは少ない」「反對(はんたい)猛烈 革新派一部議員」
 1925年2月20日の本紙1面に躍る見出しは、まるで最近の「テロ等準備罪」を巡る論戦を伝えているかのよう。データベースで紙面を見つけて驚いた。
 「治安法案」とあるのは思想、言論の弾圧に使われた治安維持法の法案。やはり国会提出前に激しい議論があったのが分かる。
 一方のテロ等準備罪は、組織犯罪を計画段階で処罰できる「共謀罪」の構成要件を絞り込み、政府が組織犯罪処罰法改正案で新設を目指している。
 もとの「共謀罪」は「内心の自由を脅かす」「捜査当局の拡大解釈で市民団体や労働組合も処罰対象になる」などと批判され、関連法案が過去3度廃案になった。治安維持法も、実は廃案になった「過激社会運動取締法案」に代わって作られ、政府は両法案の違いを強調していた。
 「テロ等準備罪は共謀罪とは違う」「一般人が対象になることはあり得ない」
 その後の戦時体制を知る大正時代の読者が今の政府答弁を聞いたら、さて、どう思うだろう。(整理部次長 昆野勝栄)