デジタルカメラ全盛の時代。「アラーキー」こと写真家の荒木経惟さんは今も、フィルムカメラを愛用する銀塩派だ。
 「銀塩写真は現像する時、一度ぬれる。それが重要なんだ。デジタルはプロセスが乾いている」
 大御所の言葉は艶っぽく、そこはかとなく深い。乾いた時代へのアンチテーゼ。「写真には『情』が写る」とも語り、被写体を思いやる気持ちと慈しむ時間の大切さを説く。
 過激なヌード作品が注目されるが、自分の新婚旅行をモノクロ写真でつづった写真集『センチメンタルな旅』は純文学のような名作だ。私小説に対抗し「私写真」を提唱する。
 宮城県内の高校で唯一、フィルムで撮り続けた宮城広瀬高写真部が今春、転機を迎える。フィルムや印画紙など資材が高騰し、銀塩写真の魅力を伝えてきた顧問の退職が重なった。
 縁あって10年ほど、生徒たちの作品を講評してきた。友達や家族を捉えた写真は心温まる傑作ばかり。みずみずしい感性や愛情にあふれている。
 アラーキーに劣らない作品は、同校写真部のウェブギャラリーで見られる。
(写真部次長 佐々木浩明)