左脚の付け根に、しばらく違和感があった。凍結した道を、普段とは違う力の入れ方で歩いていたせいだろう。いつまでたっても、雪道には慣れない。
 秋田市内は雪と曇天の日が続いている。テレビの週間天気予報にも、雪だるまと雲のマークが並ぶ。
 厚い雲の下で日々過ごしていると、いささか気がめいる。夜、人通りのない道を、向かい風に逆らうように前かがみになって歩を進める。吹雪がいや応なしに顔を打つ。そんな時、何でこんな目に遭わなければならないのかと、愚痴の一つも言いたくなる。天気に八つ当たりしたからといって、どうにかなるわけではないのだけれど。
 20年ほど前、日本海沿岸の別の街に勤務したことがあった。当時は鉛色の空の下で暮らしても、気にならなかった。年月の経過は人の心の持ちようを変える。
 雲の合間を縫って、つかの間、日が差すことがある。素直にうれしい。冬の天候が単調で、しかも長い分、春の訪れが待ち遠しく、喜びもひとしおなのが、実感として分かる。
 でも、春の足音が聞こえてくるまでには、もう少しの間、辛抱が必要だ。(秋田総局長 宮川宏)