岩手県沿岸に深い爪痕を残した台風10号豪雨から2月末で半年となった。取材の主力となった3人が連載「濁流の余波」に取り組み、被災直後に取り上げた問題点を検証した。
 岩泉町の高齢者グループホームで9人が犠牲になったことを教訓に、福祉の現場は避難の在り方を点検。ホームが意味を理解していなかった避難準備情報は内閣府が「避難準備・高齢者等避難開始」に変えた。
 県は管理河川にタイムライン(事前防災計画)を導入するなど防災体制を強化した。一方で岩泉町の危機管理の不備を巡り、第三者を交えた検証が不足していることを指摘した。
 連載が始まった2月末は重大事故が相次いだ。27日に奥州市江刺区のため池で氷が割れ、ワカサギ釣りの4人が転落した。翌28日未明には遠野市の住宅火災で4人が犠牲になった。
 北上、釜石、一関各支局を軸に、総局の若手が応援に入って亡くなった方々の顔写真と悲嘆する関係者の話を伝えた。岩泉豪雨の時の紙面が脳裏に浮かんだ。
 「岩泉から半年の日に8人も亡くなるなんて」。28日夜、取材から戻った若手のつぶやきが心に残った。
(盛岡総局長 吉岡政道)