光には人の心を揺り動かす、いろんな力があると意識したのは、東日本大震災の発生後だった。
 2011年3月11日深夜、仙台市内の本社に泊まり込む支度をしようと、3キロほど離れた自宅に自転車で向かった。光を失った漆黒の街はまるで廃墟(はいきょ)。不安から息苦しさを覚えた。逆に日を追うごとに増える街の明かりには、励まされた。
 内陸部に住む私ですら、そんな感じだった。津波により街が壊滅した沿岸部で、救助隊のライトや搬送先の施設の照明が、窮地の被災者にどれほど勇気を与えたのか、想像がつかない。
 今年ももうすぐ、ロウソクをともし、帰らぬ人を悼む日を迎える。柔らかに揺らぐ炎は、遺族らに慰めをもたらす光でもある。
 山形県内では山形大の学生と市民が11日、鶴岡市でキャンドルナイト「追悼と備えのつどい」を開く。6回目の今回は追悼行事に加え、初めて防災・減災を学ぶ時間を設ける。震災の教訓を語り継ぐ取り組みだ。
 風化にあらがい、災禍の記憶、あの日の誓いへいざなう。そんなふうにロウソクのともしびが、犠牲を繰り返さないための希望の光になることを願う。(山形総局副総局長 須藤宣毅)