宮城県松島町のマリンピア松島水族館があった県有地は今、東日本大震災の復旧工事の資材置き場になっている。2015年5月10日の閉館後、観光地の松島は、子どもたちの姿がめっきり減った。
 閉館までの1カ月間、水族館の関係者を取材して歩みをまとめた。南米まで出掛けてイロワケイルカを捕獲したスケールの大きさ、マンボウの飼育日数で世界記録を更新した飼育技術の高さに目を見張った。
 運営したマリンピア社長の西條直彦さんが4日、亡くなった。享年70歳。「南米の海で、ものすごい高さの波が船に迫って死ぬかと思ったよ」。冒険譚(たん)を生き生きと話してくれたのを思い出す。エプロンを着けてポテトを揚げていた姿も。
 水族館のほかにも、温泉を掘削したり、数々のイベントを企画したり、並外れた行動力で観光地を引っ張った。水族館の最終日、「本当はこの場所で建物をリニューアルしたかった」と本音を語った。その姿はやはり寂しそうだった。
 県は水族館跡地について利活用策を公募する。松島に再び、子どもたちの歓声がこだまする施設ができることを願ってやまない。(塩釜支局長 山野公寛)