故郷の青森に着任して2週間がたった。ビル4階にある事務所は八甲田の稜線(りょうせん)を望めるとあって環境は抜群。ただ編集から庶務までを担当する業務に不慣れのため何かと気ぜわしい。
 一緒に働く総局員は多士済々だ。論客のK、耽美(たんび)派のY、法政大の野球部で鳴らしたT、スズメバチ以外の害虫駆除業の経験があるMが、張り切って取材に繰り出す。頼もしい限りだ。
 ∧おまへはなにをしてきたのだと…風が私に云(い)う∨
 記録的に雪の少ない冬だったらしいが、4月でも冷たい西寄りの風は、昔と変わらない。無頼と怠惰な生活への自責の念と悔恨の情を詠んだ中原中也の詩が、柄にもなく頭をよぎる。
 古里は、ただ懐かしく慈愛に満ちた顔だけを見せてくれるものでは決してない。中也の例に漏れず、離郷の間の生きざまを問い返してくることも事実だ。
 ∧山では枯れ木も息を吐(つ)く…今日はいい天気だ∨
 百花繚乱(りょうらん)はもうすぐ。津軽も南部も1年で最も良い時季を迎える。苦楽を共にする若き総局・支局員たちと花見がてらに出掛け、仕事の計画でも立てながら、和むことができたらいいなとも思っている。(青森総局長 長内直己)