12年前の仙台市長選の前哨戦で民主党が一瞬、沸き立つ局面があった。3月19日に73歳で亡くなった元参院議員の岡崎トミ子さんの擁立論が浮上したときだ。
 当時は2期目で61歳。宮城で党勢を拡大したエースで主導権を握ろうと、県連幹部たちが動いた。党副代表だった小沢一郎氏も支援に前向きと伝わり、現実味を帯びるかに見えた。
 結局、別の同党関係者が意欲を明らかにしたこともあって、岡崎さんは「国政に専念する」と立候補を否定した。仮に立っていたら構図は一変していた。ある意味、岡崎さんの存在感が際立った場面だった。
 4年後の2009年、民主党は新人だった現市長の奥山恵美子氏への支援をいち早く決めた。県連代表は岡崎さん。奥山氏に「地方自治も女性が活躍する時代。一度でも多く街頭で訴えて」と助言したという。政権獲得目前だった民主党が全面応援し、政令市初の女性市長が誕生した。
 あれから8年。巡り来る市長選を前に奥山氏は今期限りでの引退を表明した。激動の国政を歩んだ岡崎さんにとっては外伝に当たるだろうが、市長選で示した重みも記憶に残る。(東京支社編集部長 吉岡政道)