スポーツ選手の談話で気になっている言葉がある。「しっかり」。本塁打を放った野球選手は「しっかり捉えられた」と振り返り、サッカー選手は次戦に向けて「しっかり修正して臨みたい」と意気込む。
 普段の編集作業時は原稿一本一本の範囲内で見ているため、特定の言葉をあまり意識しないが、「しっかり」の使用頻度は結構高い。例えば見開き2ページのスポーツ面で探してみると、三つぐらい使われている日があり、一つの記事に2回用いられていることもある。
 ただ、同じ「しっかり」でも、選手それぞれが状況に応じて意図を込めた言葉なので、ニュアンスが微妙に違う。実感がしっかり伝わってくるのが、大相撲春場所に新横綱で臨み、左上腕などを痛めながら逆転優勝した稀勢の里だと思う。
 稀勢の里は昇進伝達式後の記者会見でも何度か「しっかり」と言い、最高位を務めるに当たっての強い決意を示した。責任を強く肝に銘じ、自らを鼓舞するための口癖なのだろう。
 スポーツ選手の言葉は、政治家が使う「しっかり精査して対応したい」といった言葉とは違い、活力に満ちている。(スポーツ部次長 薄葉茂)