朝夕のおかずによく食べているカツオの加工品がある。酒のさかなにしてもいい。味付けはしっかり濃いめなのだが、素材の持ち味を消すことなく堪能することができる。
 三陸の港に揚がる新鮮な海の幸としょうゆや砂糖といった自然な材料を使い、添加物などは用いない。近所のスーパーの定番で、安さにも好感が持てる。
 そんなお気に入りの商品を作っている業者が先日、店を閉めた。後継者がいないなどの事情があって決断したらしい。東日本大震災の津波で工場を流されたが、仮設の水産加工団地に移転し営業を再開していただけに、残念だ。
 気仙沼市は水産加工業集積地。昨年の市の調べによると94事業所があり、その調査に回答した約3割が従業員5人以下だった。高齢化、後継者問題は無縁ではない。大手もまた、労働力不足の解消が、恒常的課題になっている。
 慣れ親しんできた味と別れることは寂しい。水産加工の働き手が、もっとこの地に集まってほしい。そして、新たなお気に入りの味をつくり出してくれることを信じたい。
(気仙沼総局長 菅ノ又治郎)