中心部の目抜き通りを歩く。住宅、店舗、酒蔵も当たり前のように人の気配がない。建物は傾いたり倒壊したりしたまま。時が止まっている。改めて、そのことを思い知らされる。
 東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉町。この春、町職員の方に町内を案内してもらった。
 双葉町は原発事故に伴う全町避難が続く。放射線量が高い帰還困難区域が大半を占める。同じく全町避難を強いられる南隣の大熊町とともに、住民の帰還と復興はなかなか見通せない。
 東日本大震災の発生から6年余り。福島県内では今春、浪江町など4町村の避難指示が一部を除き一斉に解除された。宮城県の津波被災地では新たな商店街がオープンしている。
 復興度合いを競うどころか、スタート地点にさえ立てていない現実が帰還困難区域にはある。双葉町内の小学校には、避難した子どもたちが置いていったランドセルが、当時の状況のまま残っている。
 政府は帰還困難区域に復興拠点を設け、除染とインフラ整備を進める計画で、先日、改正福島復興再生特別措置法が成立した。ようやく、時計が動きだす。
(福島総局長 安野賢吾)