大地にあおむけに寝そべり、青空を流れる雲を追う。何という解放感。こんな格好で空を眺めるのは久しぶりだ。草の匂い、鳥のさえずりも心地よい。職場でパソコンとにらめっこ、人混みの街ではうつむき加減に歩くことが多い日常生活をリセットしてくれた。
 今月中旬、宮城県川崎町の小高い丘にある森で満喫した。案内してくれた地元農家夫婦が森を生かす環境づくりに努める。周りの住民も手伝い、うっそうとしたササを刈り払って整地し、実のなる木や花を植栽し、野天風呂も設けた。
 夫婦に思いを尋ねた。過剰な物や情報、人間関係に疲れている大人や子どもたちと接する機会が増えて気付いたという。何もないところから生きる力を育むことが大事なのではないかと。「時間を忘れて遊んだり自然に触れたり。そうしているうちに心や体にたまったものを解き放ち、いつの間にか元気にたくましくなっていくような居心地のいい場所にしたい」
 そのような願いを込めて「ゴーシュの森」と名付けた。宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」に由来する。物語のように身も心も健やかになるに違いない。(生活文化部次長 芳賀紀行)