デスクが受け取る記事には担当記者の名前が入っている。社会面の連載や独自ダネの原稿にA君の名前を見つけ、数カ月前に聞いたぼやきを思い出した。
 A君は報道部のある取材班のサブキャップ。ぼやきは居酒屋で杯を進めるうちに出た。「僕は『穴ぼこ』記者なんです」
 サブキャップはキャップに次ぐ立場。でも日頃書くのは穴を埋めるような小さい記事が多く、トップ級の出稿が少ない-。自身のふがいなさを嘆いていた。
 同じ立場だった十数年前のわが身を顧みた。担当分野に限らず、後輩と組んでテーマを追い掛ける。キャップの負担を減らす。役割は多かった(自分はほとんどできなかったけれど)。
 スクープの陰で、扱いは小さくても必要な記事を出すことはチームの仕事に不可欠だ。サブキャップには取材班全体を見渡す力、広い視野が求められる。鳥の目を養うしかない。
 そう言いかけると、A君の目はすっかり充血していた。酒のせいか、疲れからか。その後の奮闘を紙面で見て、伝えるまでもなかったと思っている。鳥の目に加え、健康に注意する「目」も忘れないでほしい。(報道部次長 沼田雅佳)