学校法人加計(かけ)学園の獣医学部新設計画を巡る疑惑に絡み、一つ書き留めておきたいことがある。
 2013年9月26日の本紙に「政府、医学部2校新設へ」との記事を載せた。1校は震災の被災地支援で設置確実。もう1校は、国家戦略特区を活用して誘致を目指す千葉県成田市が有力、と報じた。
 情報源にしていた政府関係者は「このシナリオで決まったよ」とささやいた。記事では「有力」とぼやかしたが、氏は「国家戦略特区の方は成田が当確だ」と太鼓判を押していた。
 果たして被災地支援医学部は、文字通り「総理の意向」で設置方針が決定。ただ、その選定に当たっては、文部科学省の第三者機関が厳正に審査した。
 記事にした責任上、気掛かりだったのは国家戦略特区医学部の行方だったがこの4月、成田市に開学した。まさにシナリオ通り。
 医学部新設は国の医師養成計画の抜本見直しだけに、既存学部の定員増など手を尽くした上で最後は政治が断を下した。しかし獣医学部の新設は、手順が一部抜け落ちている。
 「行政がゆがめられた」としたら、この辺りか。
(盛岡総局長 矢野奨)