肘折温泉(山形県大蔵村)の旅館で湯上がりに体を拭いていたら、壁のポスターが目に入った。英語、中国語、ハングルで「浴槽には衣服を脱いで入ってください」「中で洗濯しないでください」などと書いてある。思わず笑ってしまったが、こういうトラブルも現実にあるのだろう。
 それにつけ、山懐の肘折にも訪日外国人旅行者(インバウンド)が押し寄せるようになったのか。おかみさんに尋ねると、あまり見掛けないという。海外生活が長い娘さんが、先のことを考えて張ったらしい。
 福島県南の支局に勤務していた10年ほど前、福島空港(須賀川市など)周辺のゴルフ場は外国人でにぎわっていた。近くのスーパーマーケットには「会計前に食べないでください」「品物の袋を破らないでください」といった注意書きが売り場ごとに見られた。
 あの頃と何が変わったのだろう。生活習慣の違いに発する溝を埋めるには長い時間が必要だ。インバウンド増を求めるなら、多少の摩擦など笑い飛ばすくらいの余裕が必要では。日本人の海外ツアーだって、昔は評判が悪かったと聞く。そのことを思えば…。
(整理部次長 野村哲郎)