仙台市博物館(青葉区)で7月1日から開かれる特別展「空海と高野山の至宝」には、空海が開いた高野山に伝わる寺宝や密教美術の名品が展示される。
 国宝10点の中で、注目しているのは、空海が唐に留学する前の若き日に書いた仏教論「聾瞽指帰(ろうこしいき)(下巻)」。僧侶の道を目指す決意表明の書だが、その力強い筆致は見る人に強い感銘を与える。空海は後に「三筆」と称せられ、日本書道史に大きな足跡を残した。
 書といえば、東北歴史博物館(多賀城市)で開催中の「漢字三千年」は、漢字発祥の地・中国の博物館などが所蔵する「一級文物(国宝級)」21点を含む約110点の遺物を展示。古代からの漢字の歴史を紹介、書の芸術性にも迫る。
 中国で発明された漢字は日本に伝わり、独自に進化してきた。現在も漢字を主に使い続けるのは、世界の中でも中国語圏と日本だけだ。日本人が古代中国の文化や物語に親しむことができるのも、漢字の縁で結ばれていることが大きい。
 同時期に開催する二つの展覧会に触れることは、ぎくしゃくした関係が続く日中両国の絆を改めて考える良い機会だと思う。(生活文化部次長 加藤健一)