カエルの合唱をBGMに田植えを体験した。先月中旬のこと。仙台市泉区の泉ケ岳麓に広がる水田の一角であったイベントに飛び入り参加、いずれ酒に生まれ変わる「亀の尾」を植えた。自然栽培米作りを実践する地元農家が宮城県内の蔵元と企画した。
 訪ねたきっかけは、農家の次女鴇田美穂さん(31)のブログに引かれたから。「あなたの食があなたを変える 私たちの食が世界を変える」などと農や食に対する思いをつづる。
 「健康や環境を考えて」と美穂さんは2012年会社勤めを辞めて実家に戻り、自然栽培に取り掛かった。水管理や除草に心を配りながら多様な小さな生き物がすむ田んぼを作る。農に携わることで故郷の自然の素晴らしさを認識した。
 エネルギー資源や動植物の生態、貧困…。世の中で起きている問題には、日々の食につながっていることがたくさんあることに気付いたという。「大切な食の源になる農業を軸に、人や自然が健やかになるような活動を続けたい」
 そう語る美穂さんのまなざしは温かい。豊かな食について考える機会ともなり、心を耕した。(生活文化部次長 芳賀紀行)