塩釜市の浦戸諸島、寒風沢島でタマネギ栽培を始めた加藤信助さん(35)を6月20日の宮城県版で紹介した。「農園の経営を軌道に乗せ、島に移り住む若者の受け皿になりたい」と加藤さんは意欲を見せた。
 寒風沢の農地は東日本大震災の津波で浸水した。震災後、住民は減り、高齢化が進む。記事の見出しは「島の光に 育てタマネギ」。取材した自分も、同じ気持ちになった。
 種は産地の兵庫県淡路島から取り寄せた。市に派遣された同県職員が橋渡しをした。震災を契機にした支援活動が、タマネギという形で「結球」した。
 加藤さんにとって寒風沢は父親の出身地で、現在は船で通う。島での栽培はコスト面で悪条件が幾つもある。潮風のミネラルで甘味が引き立つ好条件をどう生かすか。試行錯誤は続く。
 江戸時代に世界一周をした船乗り、津太夫(つだゆう)の出身地が寒風沢。話題にすると、加藤さんが「僕は子孫らしいです」と言うので驚いた。というのは、取材余話。
 島産タマネギを家人が蒸してくれて、しょうゆとマヨネーズをかけて頬張った。はふはふはふ。口の中いっぱいに甘味が広がった。(塩釜支局長 山野公寛)