取材で知り合った石巻市の20代女性から先月、うれしい知らせが届いた。女の子を出産し、母子共に健やかに過ごしているという。
 東日本大震災の津波に家族と一緒に流され、ただ一人助かった。初めて会った時は1人暮らしをしていた。頼りなく、さみしげな印象で、困難が降りかかった時に誰が守ってくれるのだろう、と心配になったことを覚えている。
 久しぶりに電話で聞いた声は、以前のイメージとずいぶん違った。「夜泣きが始まると大変で…」とこぼしながらも、元気そのもの。彼女の発するエネルギーが伝わってきた。
 取材の一環で、語り部を頼んだことがあった。家族を亡くした喪失感や自責の念を懸命に話す姿に、頭が下がる思いがした一方、心(しん)の強さも感じた。きっと今が本来の姿なのだろう。
 震災から6年。守ってくれる幼なじみの夫がいて、守らなくてはいけない小さな命も授かった。新居を建て、もうすぐマイホームでの新生活が始まるという。
 時がたち、出会いや家族が、彼女の心に空いた大きな穴を埋めている。そんな様子を実感できたハッピーニュースだった。(山形総局副総局長 須藤宣毅)