気仙沼市浪板地区に伝わる郷土芸能に、浪板虎舞がある。笛と太鼓の打ちばやしに合わせて、虎が大はしごを上がるダイナミックな舞が特徴だ。300年の歴史があり、今年2月には宮城県の無形民俗文化財に指定された。
 指定を祝う集いが今月開かれ、伺った。これまでの虎頭は修理を重ね100年ほど使われてきたもので、新しい頭が完成した祝いも兼ねているという。
 浪板地区は東日本大震災で津波に襲われた。全世帯で組織する虎舞保存会も、打ちばやしの児童を含む30人ほどが命を落とした。
 保存会の小野寺優一会長(72)は「地域は厳しい状況に置かれたが、心を一つに進むことができたのは虎舞のおかげ」と話す。
 郷土芸能にとって、後継者の育成は急務だ。都市化や過疎化などによる地域共同体の変化で担い手が減り、文化財指定が解除されるものもあるという。
 集いでは、新旧2頭の虎が共に舞い、古里の復興を祈った。大人の中で、元気よく太鼓をたたく子どもたちの姿も目立った。虎舞がいつまでも地域の繁栄を見守っていくことを願う。
(気仙沼総局長 菅ノ又治郎)