どうしても薄っぺらに感じてしまう。東京電力の新経営陣が口にする「福島への責任」という言葉だ。6月に就任した川村隆会長と小早川智明社長らが、事あるごとに語っている。
 現実はどうか。福島第1原発でたまり続ける「トリチウム水」の処分方法を巡り、川村会長は「(海洋放出の)判断はもうしている」と発言した。
 結果は地元反応の通り。風評被害と闘う漁業の現場などから猛反発を受けた。東電は「社として判断はしていない」と釈明したが、川村会長の地元感情への理解不足がはっきりした。
 小早川社長も地元をさっぱり分かっていない。全町避難が続く双葉町の仮役場を訪問時、町の避難指示が「一部解除された」と大間違いの発言をした。双葉町は第1原発の立地自治体だ。足元の現状すら把握できていない経営陣の発言をどう信じろというのか。
 2人は東電の経営改革加速を目指す政府の意向を受けて就いたともいわれる。福島復興が二の次にならないか心配だ。そういえば川村会長は就任後の記者会見で「稼ぐ事業体に生まれ変われれば、福島への責任を果たせる」と語っていた。
(福島総局長 安野賢吾)