6月にハワイを訪れる機会があった。ハワイの歴史をひもといて、「元年者(がんねんもの)」という存在を知った。
 日本で最初の移民は1868年、ハワイに渡った150人余りだとされる。慶応から明治に年号が変わった年で、このとき渡航した人々は後に元年者と呼ばれたという。
 その元締が、石巻出身の牧野富三郎という人物だった。石巻のどこで生まれ、育ったのかははっきりしない。残念ながら、石巻で資料は見当たらない。
 ただ、移民の一人が残した航海日記に富三郎のことがつづられている。
 <牧野富三郎は立派な武士だったが、若い頃に放蕩(ほうとう)をしたあげく、とうとう郷里にはいられなくなって、横浜辺りに流れて来た…(中略)。一番の年長者で腕力もあり、分別もあった。頭はヤカンのようにはげていた>
 富三郎はハワイで日本との連絡役を務め、農園で酷使される日本人の待遇改善に尽力した。ハワイから米サンフランシスコに向かったというが、その後はよく分からない。
 来年は元年者が移民してから150年。富三郎の足跡を追い掛けてみたい。
(石巻総局長 古関良行)