「色がすごい。思わず画面に引き込まれそう」。最新の有機ELテレビの映像を家電量販店で見た同僚がうなっていた。
 写真記者はとても色にうるさい。どんなにいいショットでも、紙面の中の写真の色が悪いと気分はブルー一色。臨場感が失われれば読み手に正確な情報は届かない。だから現場で見たまま、あるがままを再現したいといつも思う。
 最近、手を焼いているのが海。日曜日に連載している「里浜写景」は海絡みの構図が欠かせないが、見る角度や日の差し加減が違えば、浜の表情は異なる。青、深緑、いや灰色か…。撮影者はまぶたに焼き付いた景色を頼りに、デジタル画面に再現していく。
 パソコンで色の調整を完璧に行っても、紙面の色刷りがうまくいかなければ台無し。新聞紙の「地の色」を思い浮かべ、黄を少し差し引く必要がある。色を忠実に再現するといいながら、その作業には撮影者らの経験と勘が必要になる。
 記憶という印画紙との格闘は、きょうもあしたも続く。だからこそ新聞写真には最新のテレビにはない、味わいという名の「味」があると信じている。
(写真部次長 長南康一)