ためつすがめつ日本地図を眺めている。先日公表された「核のごみ最終処分場の科学的特性マップ」。どこかが引き受けなければ解決しないと分かってはいるが、見れば見るほど岩手が最終処分場に選ばれそうな気がしてきた。
 古く強固な地層からなる北上山地は、高レベル放射性廃棄物の積み降ろしに便利な港湾に近いとして今回、広く適地とされた。
 この理屈、実は30年近く前にも聞いたことがある。相手は旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の釜石事務所長だった。
 動燃は当時、釜石鉱山の坑道を借りて地層処分の基礎研究をしていた。所長の口ぶりからは、あわよくばこのまま処分場建設まで突き進みたい気持ちがありありと読み取れた。
 釜石市は1989年、最終処分場の受け入れ拒否を宣言。民意は既に決していると言いたいところだが、安心するのは早計だろう。
 原発施設の例を挙げるまでもなく、為政者はアメとムチをセットで提示する。そして岩手では、北上山地に長大な穴をうがって超大型加速器を誘致しようという機運が高まっている。杞憂(きゆう)ならいいのだけれど。
(盛岡総局長 矢野奨)