感覚がまひしていないか、絶えず自戒しなければと思う。
 一本の原稿が届いた。「作業員の被ばく事故、レベル2か」。紙面を作る担当者に原稿を渡し、組み上がった紙面を見ると2段見出し。2段はそれなり。3段になると大きい扱い。「まあ、このぐらいか」。納得しかけた。
 紙面のレイアウトや見出しを担う整理部の前に、原稿を書く報道部で原子力も担当した。経験から「レベル2」は相当な事故という認識はあった。だが東京電力福島第1原発事故の最悪ランク「レベル7」の記憶が、レベル2を「2段でいいか」と錯覚させた。
 そう、錯覚である。電気をつくる過程で人の生命を危険にさらすことがあってはならない。事があったとき桁違いの影響がある原子力分野では、なおさらだ。
 1000年に1度といわれる大地震と原発事故という未曽有の複合災害を、被災地にいて経験している。一つ一つの記憶が強烈だ。それゆえニュース判断で「震災に比べれば、大きい問題ではない」と無意識にフィルターをかけていないか。自分の尺度を注意深く点検し直さなくては。
(整理部次長 八代洋伸)