夏らしい日に恵まれないまま8月が終わり、9月を迎えた。梅雨が明けても雨の日が続き、気持ちまでどんよりとしてしまう。
 日照不足による作物への影響が心配だが、東日本大震災で被災した東北の沿岸では、ようやく復活にこぎ着けた海水浴場関係者の落胆も相当なものだった。
 被災した岩手、宮城、福島3県で今年、7年ぶりに再開した海水浴場は四つ。いずれも期待に反し、人出はさっぱりだった。
 「海に親しむ機会がないまま育っては、ここで暮らしていけない」。2014年夏、震災後4年ぶりに再開した岩手県大槌町の吉里吉里海岸海水浴場で、復活へ奮闘した小さな子を持つ親たちを取材した際、聞いた話が忘れられない。
 多くの人の命を奪った海。地元では再開にさまざまな思いがある中、保護者らを説得し理解を得た。今年再開した海水浴場でもいろんな地域の思いがあったのではないだろうか。
 小学1年生の一部は震災後に生まれた。震災の記憶がなく海にも親しめない環境は、今後の地域づくりにも影響する。単にレジャーの側面だけでは語れない事情が被災地にある。
(報道部次長 玉應雅史)