どんな音楽が生まれるのか楽しみだ。東日本大震災の津波で被災した仙台市東部沿岸地域で今聞こえる音を集め、新しい音を紡ぐという企画が進められている。
 市地下鉄東西線荒井駅内にあるせんだい3.11メモリアル交流館(若林区)の主催で、7月から展開するイベント「みんなでつくるここの地図」の一環。震災から7年目に入り、復旧復興が進む地域の今を見詰めてもらいたい、との願いを込める。
 音楽制作を依頼されたのは、地元の荒浜出身で仙台を拠点に活動する音楽家佐藤那美さん(27)。6月から巡り、さまざまな現地の息遣いを収録する。イベントを楽しむ住民の声、スケートボード、鳥のさえずり、潮騒、工事の重機…。
 佐藤さん自身、失った祖父や生家に思いをはせ、故郷を見詰め直す機会になっているという。「失ったものはあるが、故郷は決してなくなってはいない。聞こえる音は確かに存在している証し。小さくとも地域に今もある営みを伝えたい」
 完成は10月上旬の予定。交流館に響く音色はきっと人の心に刻まれ、未来にこだまするだろう。(生活文化部次長 芳賀紀行)