紙面では、ほとんどの記事は見出しから始まる。整理部の各面担当者が原稿を読み込んで付ける。基本的に簡潔が良。的確に内容を伝えて上。記事によっては、ひねりやしゃれを加えて、決まれば上々。出稿デスクとしては「座布団一枚あげて」といったところだ。
 「居合わせた者が同じイメージを結んだと感じる瞬間があるんです。高座も客席もぴたっと一つになる」
 会津若松支局の記者をしていた頃、同市出身の落語家がいると聞いて取材した。落語家にとっての寄席の醍醐味(だいごみ)を尋ねたら、こんなふうに話してくれた。伝える、表現する仕事に相通じるものを感じた。
 当時はまだ二ツ目で、三遊亭好二郎を名乗っていた。師匠はテレビ番組「笑点」の大喜利レギュラー、好楽さん。サラリーマン生活を経て、妻子のある28歳で門をたたいた。取材の2年後には真打ち昇進を果たし、名を兼好と改めた。
 精進を重ねたに違いない。いまや最も期待を集める落語家の一人に数えられる。「聴く人を楽しませるには、まず話す人が楽しくないと」と語っていた兼好さん。「伝わる」紙面作りも同じではないだろうか。
(整理部次長 小川雅洋)