毎年9月は仙台市の定禅寺ストリートジャズフェスティバルを楽しみにしている。今年も1日だけだったが暗くなるまで場所を変えては、さまざまなバンドの演奏を聴いた。音楽は完全な素人。音楽を楽しむ習慣はない。それでもジャズフェスは面白い。
 演奏を聴くと20年以上前、ある音楽家が言った言葉を改めて思い起こす。当時、コンサートに行ったことを伝えると返ってきたのは「面白かった? 面白くなければ駄目なんだ」。当方のような素人を楽しませてこそプロ、と強調していた。
 以来、この言葉を意識してきた。専門的知識を持ちつつ、予備知識のない読者も面白いと思える原稿を書きたいと。どれだけ実行できたか、自信はない。いまデスクとして、スポーツに関心が高くない読者も引きつける記事の掲載にいかほど貢献しているか、こちらも同様と言わざるを得ない。
 新聞離れ、活字離れが指摘されて久しい。大きな流れにあらがうすべはないが、一デスクのできることは、読者が面白いと思う紙面作りを模索することしかない。立ちっ放しで演奏を聴き、痛くなった腰をさすりつつ思った。(スポーツ部次長 相沢英幸)