数えで7歳の男の子が山に登り、健やかな成長を祈る国の重要無形民俗文化財「お山がけ」。気仙沼市の羽田(はた)神社で今年も行われ、先日取材した。
 藩制時代から受け継がれてきた伝統の行事。奥の院がある山頂を目指す2キロちょっとの山歩きだが、これが実に厳しい。参道を見上げると、まるで絶壁。
 「なめると大変な目に遭う」「山用の靴でないと駄目だ」。日頃の取材で鍛えている健脚ぞろいの写真部記者が、初めて取材する同僚に真顔で警告してきた。
 気仙沼で暮らした子どもの頃、当然のようにお山がけに参加した。「親子お山かけるな」という言い伝えから、おじさんに付き添われての参拝。
 登りの記憶はなぜか薄れ、山頂からの帰り道を覚えている。日が暮れて辺りは真っ暗闇。怖くて怖くて、本殿の明かりを見つけた時には涙目になっていた。
 あれから四十数年。久々に登った後、山道を下りながら考えた。長年の不摂生がたたって膝は笑いっ放しだが、何とか無事に仕事を続けられたのは、お山がけのおかげなのかも。子どもたちにも幾久しく御利益があるだろう、と。
(写真部次長 佐々木浩明)