今年は家の柿の木が数えるほどしか実を付けなかった。ほぼ1年置きにやってくる「裏年」だったらしい。豊作で頑張った翌年ぐらい少しは休みたいのだろう。その気持ち、分からないわけではない。甘柿一つもいでガブリとやった。
 渋味が少しは入る種類であるものの、食って食えない柿ではない。「今年も実を付けてくれた」と思えばいとおしくさえある。
 口の中に渋味を残しつつ、このところの自動車メーカーの不祥事に思いが至る。どうも柿の木みたいにおうようでない。三菱やスズキの燃費不正に続き、日産も無資格検査で車を販売していた。ずさんな管理体制が一因である。「成績を上げろ」との号令の下、現場は少ない人員で収益アップを求められていたのか。
 この手の話は自動車業界にとどまらない。どこも効率重視である。結局、労務管理が行き届かず、果ては過労死さえ出す始末。
 柿の収穫作業をしていると、自宅近くを選挙カーが過ぎていった。そういえば各党の公約には甘さたっぷりで優しい文言が並ぶ。もう一つ柿を食えば、今度はとびきり渋味の多いやつに当たってしまった。
(論説副委員長 日下三男)