年に数回、大学生を相手に報道写真について話す機会がある。インターンシップだったり、大学の集中講座だったり。
 先月も仙台大で講師を務めた。写真記者が構図や視点にいかにこだわっているか、新聞印刷ならではの写真の深み-。90分のつたない授業だったが、熱心に聴いてくれた。
 学生たちはニュースをスマートフォンでサクサク閲覧する。「新聞はあまり手にしない」そうだ。ご時世だから仕方ないが、何とも味気ない。自分の大学時代はどうだったか。宮城県から上京したのは1980年代後半。首都圏のメディアは東北の話題を詳しく伝えてくれなかった。
 いつも腹ぺこだったあの頃、実家から届く宅配便はありがたかった。段ボール箱を開けると、旬の果物や野菜が新聞紙に包まれていた。箱の底には、数日分の新聞も重ねてあった。
 ナシを丸かじりしながら、シワシワの新聞を伸ばして古里の稲刈りの記事と写真を見る。郷愁の味は心にも染みたものだった。
 「新聞で見る写真は味わい深いよ」。ネットにはない妙(たえ)なる味だと、次は学生に伝えてみよう。(写真部次長 門田勲)