毎年今ごろの季節になると飼い猫が寄ってくる。タマとハナという名の2匹。
 いつもは「どこの家の猫のつもりだ」と言いたくなるくらい懐かない。せっかちなタマは、抱こうとすると後ろ足で蹴りながらかみつく。おっとりタイプのハナの方は「抱っこしたい? まあ、今は暇だからいいけど」と言いたげ。
 そんな素っ気ない猫たちが夜になると、肩口から布団の中にそっと入ってくるのだ。「おー、来たか来たか」と感激してきつく抱いても逃げ出さない。
 動物写真家、岩合光昭さんの『世界ネコ歩き』というテレビ番組がある。登場する猫の表情が本当に素晴らしい。写真を撮る時、岩合さんは猫のまなざしでシャッターを押すことを心掛けているという。
 もちろんズームなどは使わない。「猫に愛されることより、嫌われないこと」が、いい写真のこつだと語っていた。
 朝、「たっぷり寝たか? こっちは寝返りできず腰がしびれた」と猫に声を掛けたが、大きく伸びをしただけで振り向きもしない。気に障ったらしい。こんな調子で、いまだに猫の傑作写真を撮れないでいる。
(写真部次長 及川圭一)