タレントのコロッケさんは著書『マネる技術』で、ものまねの基本を「まねるというより、憧れの人になってみたいという気持ち」と説く。その上で、相手をしっかり観察せよと。
 体操のマンリケ・ラルドゥエト選手も同じ過程をたどったか。キューバには手本がおらず、内村航平選手の演技を映像で研究したという。リオ五輪はけがで途中棄権したが、先月の世界体操個人総合で5位。予選は1位通過だった。
 当方は、読売新聞の1面コラム『編集手帳』を手本としてきた。幅広い知識が光る導入、発想豊かな展開、思わずうなる締め。彼我の差にがくぜんとする。
 その編集手帳の筆者交代を知らせる社告が、10月3日に掲載された。2001年から担当してきた竹内政明さんの体調不良が理由。師を失ったようで寂しい。
 「医者を続けている限り、私たちは自分に落胆し続けるのだろう」。ドラマ『コード・ブルー』で、新垣結衣さん演じる医師・白石恵のナレーションにあった。医療現場で、わずかな自信を砕かれる心境を表す。謙虚にという自戒と向上心と。当方も持ち続けたい。手本を読めなくなっても。
(整理部次長 村上朋弘)