「弁護士生活35年。裁判官の質問で原告が涙するシーンを初めて見ました」
 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の遺族が起こした訴訟の控訴審で、原告代理人を務める斎藤雅弘弁護士がこんな感想を漏らした。
 仙台高裁で10月12日にあった口頭弁論で、高裁は震災前の津波ハザードマップで大川小の通学地域の一部が津波浸水予想区域に含まれる点に着目。潮見直之裁判官が被告の市側に「津波と無関係な学校ではありませんよね」とただした。
 一審の最大の争点は海岸から約4キロ離れた大川小まで津波が来ることを予見できたかどうか。潮見裁判官の指摘は、大川小は3.11前から津波に備え、子供たちの安全を確保する責務があったことを示唆する。
 原告遺族の佐藤和隆さん(50)は「学区そのものが大川小なんだ、という裁判官の指摘に目からうろこの思い」と話す。
 原告側が指摘してこなかった問題点を裁判官がただし、原告の涙を誘った。裁判官の鋭い突っ込みに感心する一方、大川小問題担当キャップとして問題意識が十分だったか自問する。
(報道部次長 山崎敦)