いわき市平の集会所で2カ月に1回、週末の寄席が開かれていると聞いて出掛けた。落語に加え、ジャグリングやけん玉パフォーマンスなどをアマチュア芸人6組が次々と披露。笑ったり技に驚いたりして2時間半はあっという間だった。
 寄席は2011年11月、市内の芸人18組によるいわき芸能倶楽部(くらぶ)が始めた。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に伴う避難所などの慰問は一段落していた。事務局の古扇亭唐変木(本名・古川隆)さん(68)は「衣食住の次は文化。笑いのある日常を取り戻したかった」と振り返る。
 既に31回。毎回30~50人が来場する。昼席、夜席とも終了後は客と酒を酌み交わし、楽しく批評し合う。
 復興した姿を示す光景に見えるが、「復興は好きな言葉じゃない」と唐変木さん。原発事故で多くが古里に帰れない現実を見えにくくし、事故をなかったことにするかのように使われることがあると感じる。
 怒りも悲しみものみ込んでとにかく笑いたい。そんな市民の期待に応えるべく技術を磨く姿がすがすがしい。次の寄席は1月13、14日。倶楽部はメンバーの出演依頼も随時受け付ける。(いわき支局長 佐藤崇)