友好紙の論説委員が集まった会合の懇親会。珍しく話題が日本の安全保障政策に及んだ。論客が多いだけに、いつもはこの手の議論は避けるのだが。
 メンバーの1人が沖縄に集中する米軍基地問題について分散論をぶつと、すかさず横やりが入った。「それはお子ちゃまの論理だ」
 現実と理想がぶつかり合う各紙の社説のありようを象徴するような場面。どちらに軸足を置くべきか、さじ加減が実に悩ましい。
 例えば、北朝鮮情勢。日本海に弾道ミサイルを何度も撃ち込まれれば、圧力一辺倒の「大人の論理」が幅を利かせ、対話を目指す柔軟路線は旗色が悪くなる。
 現実とは一体何か。「本来一面において与えられたものであると同時に他面で日々造られて行くもの」。政治学者の丸山真男は著書でこう指摘する。
 さらには「この国では端的に既成事実と等値されます。現実的たれということは既成事実に屈服せよということにほかなりません」と付け加える。
 多面的な現実の本質を見失ってはならないとの教えだろう。ある側面だけが強調される危うさ。現実肯定に潜む諦めとの格闘が続く。(論説委員長 原谷守)