俗に「アクセサリー条例」という。作っただけで満足してしまい、役に立たない条例を指す。類語に「アリバイ条例」。
 岩手県岩泉町議会が2015年4月に施行した議会基本条例は、その典型だ。できてから3年を待たずして死文化してしまった。
 町長のわいせつ行為に揺れた岩泉。辞職は当然の成り行きだが、問題発覚から辞職まで、監視機関の町議会は終始居眠りしていた。
 唯一の「見せ場」が渦中の町長に「ひるまず仕事に励んでほしい」とエールを送った一般質問だったのには、町民もあきれ返った。
 台風10号豪雨からの復興を引き合いに辞職を惜しむ議員心理も理解に苦しむ。「議会は町長の施策を追認するだけの機関です」と白状しているに等しい。
 たとえ首長が機能不全に陥っても、議会が議決や調査、政策形成の各種機能を駆使して努力する、と議会基本条例に自分たちでしたためた決意を忘れたか。
 さて町民の代表機関に随分無礼な言葉を連ねてしまった。出過ぎと知りつつ議会の方々に思い至ってほしかったのだ。町長の顔色をうかがう一言が、被害者を深く傷つけていることを。
(盛岡総局長 矢野奨)