なかなか足を踏み入れることができない二つの現場を訪れる機会があった。
 一つは福島市と米沢市の境にある「二ツ小屋隧道(ずいどう)(384メートル)」。明治初期に開通した「万世大路(ばんせいたいろ)」の一部。11月半ば、安全性を確保した上で観光資源としての活用を模索する地元の旅館組合関係者の視察に歩いて同行させてもらった。
 石積みが残るつづら折りの廃道を30分。トンネル内部は所々が崩れ、地下水が流れ落ちる。巨大氷柱ができるという厳冬期に再び足を運んでみたいと思った。
 もう1カ所は12月上旬に訪れた東京電力福島第1原発3号機。遮蔽(しゃへい)材などで空間放射線量が下がり、最上階の取材が可能になった。使用済み核燃料の搬出に向けたドーム屋根やクレーンの設置工事が着々と進む。
 使用済み燃料の取り出しは廃炉の入り口にすぎない。その後に待ち受ける溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しは難易度が格段に高い。政府や東電が掲げる30~40年での廃炉が可能か。疑念もまた残った。
 ちなみに、最上階に向かうエレベーターが上り下りする際に流れる音楽はなぜかZARDのヒット曲「負けないで」だった。(福島総局副総局長 大友庸一)