あまり話題にならないので、忘れかけていた。あれから、もう20年なのだ。
 1997年12月に成立した介護保険法。40歳以上の国民が保険料を払い、介護の必要な人が適切なサービスを受けられるようにする仕組みの骨格が決まった。
 この年の秋、国際長寿センター(ILC)主催の記者研修会に参加し、超高齢社会をテーマに米紙記者たちと意見交換する機会があった。当然、介護保険も話題になったが、議論はまるでかみ合わず、米紙記者たちが総じて懐疑的だったのが印象に残っている。
 公的保険に対する意識が決定的に違っていたのだ。例えば代表的なのは、こんな意見。「将来介護が必要になるかどうかは、かなりの部分が自己責任」「要介護にならない人まで保険料を支払うのは不公平だ」
 どうやら、わずかな負担で病院を受診できる健康保険制度を持つ日本人は何だかんだと言っても、公的保険の良さを理解し、一定の信頼を寄せているのだと感じた。少なくとも当時は。
 来年は一部高齢者の自己負担が3割に引き上げられる制度改正もある。国民の信頼をどう守るか。この先ますます難しくなる。
(山形総局長 昆野勝栄)