カメラを構えてシャッターを押す。すると液晶モニターに無情の文字が。「カードが入っていません」。パソコンに入れっぱなしだった、と思わず天を仰いだ。自分が嫌になった。
 スマホで話を終え、慌ただしく出掛けようとしたらスマホがない。どこに置いた? と一瞬焦ったら、なんと自分の左手にあった。人知れず、赤面した。
 「あなたも立派な中高年!」。漫談家の綾小路きみまろさんに褒められそうだ。物忘れという言葉が友人になりつつある50代記者でも職業柄、この1年で話題を集めた政治家の言葉は頭に残っている。
 「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです」「排除します」。「このハゲー」も強烈だった。
 とりわけ脳に深く刻み込まれたのは、やはり今村雅弘復興相(当時)の発言。小欄で何人も取り上げたが、何度でも書く。「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」
 「あっちの方」と呼ばれた、津波に被災した沿岸部に住んでいる。1年の労苦を忘れる「年忘れ」の時季ではあるが、この人の発言だけは何年たっても忘れないだろうと、確信する。
(塩釜支局長 山野公寛)