「インスタ映え」はしないかもしれない。でも人を引きつける力強い絵は、実はそこかしこにある。
 以前勤務した一関市。同市大東町に取材に行ったとき、道の傍らに数十センチ四方の「枠」があった。ただの枠である。思わず道路端に車を止めて見てみた。
 そばに説明書き。「風景額縁」だそうだ。枠内の風景を絵画に見立てて眺めてもらう趣向。どこにでもあるといえば、ある農村だった。なだらかな里山と屋敷林をまとう農家、丁寧に手を掛けた黄金色の田んぼとあぜ道。自然の恵みの豊かさと人の営みの尊さ。数十分はたたずみ、見とれた。
 そのセンスに驚く。何げない農村風景に価値を見いだし「額縁」に入れる。国出先の役人が言っていたことを思い出した。「東北の人は東北の素晴らしさを知らない」。ここの住民は足元の宝を知っている。
 写真をネットに上げても国内の支持は集まらないかな。それでも東北の身近な風景は、別の国の視点で見れば十分個性的。はやりの外国人観光客誘致の決め手も足元にあるのでは。チルチルミチルの青い鳥。大切にしないと逃げて、なくなってしまうかもしれない。(整理部次長 八代洋伸)