東京電力福島第1原発事故の廃炉作業や多くの復興事業がある福島県浜通りで目立つのは、家族と遠く離れて懸命に働く人たちだ。昨年12月の早朝、いわき市の波立(はったち)海岸で偶然会った男性もそんな一人だった。
 海岸は初日の出の名所で知られる。取材先や知人に送る年賀状用写真を撮るため、赤い鳥居のある弁天島を望む場所に着くと、一足先に日の出を待っていた。
 四国で建設会社を営む40代社長。廃炉作業などで、従業員約10人が浜通りに移り住み、自身も打ち合わせで2週間ごとに数日間滞在するのだという。
 その日は娘が希望する幼稚園の面接の日。合格を祈り、めでたい写真をLINEで送るとの話だった。吉報を念じ、一緒にパチリ。
 「家族と離れて大変ですね」と話を向けると、「私は出張。大変なのは単身赴任の従業員です」。遠い自宅に長期休暇でしか帰れない人もいる。航空券の補助も全員にはできない。
 原発建設に関わった経験もある社長は「福島の復興に役立ちたい」と力を込める。よそ者として、地元住民から警戒されることもある方々に支えられている現実が地域にはある。
(いわき支局長 佐藤崇)