電柱にくくりつけられた赤い矢印の傷みが激しい。東日本大震災後に地域のほとんどの住民がお世話になったボランティアの方が、地域外の道路に不案内の人でも避難しやすいようにとの配慮から設置してくれたもの。簡単なつくりだが地元住民では気付かないアイデアに感心した。その善意の証しも風雪にさらされ、折れたり飛ばされたり。
 押し寄せた津波の高さを示す「ここまで津波」の小さな表示板が町内の要所に取り付けてある。2メートルを少し超える高さ。それが視界に入るたび当時の残像が重なる。
 強い流れに押し倒されて無くなったブロック塀の基礎部分に残る、さびで細くなり折れ曲がったままの鉄筋。アスファルトがはがされたままの道路の小さなくぼみ。いつもの所で車は小さく弾む。
 もうすぐ7年。
 川の堤防の修復・かさ上げ工事の工期延長の知らせが届く。いろんなことに慣れてきた。紙面で「風化」という言葉を目にするたびに、赤い矢印に込められたメッセージを思い返し、忘れてもいいことと伝えていかなければいけないことを考える。
(整理部次長 足利克寛)