「青森市で撮ったんだ…」
 男はつらいよ15作目の寅次郎相合い傘は浅丘ルリ子2度目の出演。寅さんとともにスクリーンに映る善知鳥(うとう)神社や青函連絡船を、中学2年の自分は小躍りする思いで封切館で見入った。
 42年後、青森に赴任してもっと驚いた。寅さんが夢から目覚める冒頭の映画館の場面。松竹の大船撮影所か都内での撮影だとずっと思っていたが、これも青森市内だったことを知った。
 しかも映画館は高校の同級生の父親が経営していたはずのS座。成人映画専門だったようだが、招待券で出掛けたこともある。渥美清が演じた館内でスクリーンを眺められ、遅まきながら感慨もひとしおだった。
 「映画館にはあまり行きません」と総局の20代の3記者は言う。自分も足は遠のいた。封切館だった地下劇場やロケ地のS座の跡地には、ビルや住宅が立ち並ぶ。代わりにシネコンと単館系の計3館が市内で映画の明かりをともし続ける。
 連絡船を背景に寅さんが宿に帰る夕暮れの場面。住んでいる賃貸アパートの目と鼻の先がロケ地だ。渥美清の目に青森の街はどう映ったのだろうか。機会を探って同級生らに尋ねよう。
(青森総局長 長内直己)