そうおいしくもないスナック菓子を買って、仮面ライダーのカードを集めた世代だ。いつの世も、子どもはかっこいいヒーローにあこがれる。
 いよいよ米大リーグに挑む大谷翔平選手。先月、エンゼルスの入団会見で見せたユニホーム姿が、早々と野球カードになって仙台駅前の専門店に並んでいた。あちらのカードメーカーと契約し、1日に1万7千枚も売る新記録を打ち立てたという。ベーブ・ルースの再来ともたたえられ、人気はすでに超メジャー級だ。
 6年前の記者会見を思い出す。花巻東高で報道陣に囲まれた大谷選手はきっぱり、「迷いはない」と大リーグ挑戦を宣言した。優しい表情が急に大人びて、眼光は勝負師。シャッターを押しながら、風格漂う高校3年生に恐れ入った。
 詩と童話、農業に地質学と、マルチな才能を開花させたのは宮沢賢治。大谷選手の二刀流は、同郷の偉人譲りなのでは。さらに自信を深めた顔つきのカードを眺めて夢想した。
 バーチャルでもフィクションでもない、リアルなヒーロー。そのまなざしはきっと、今の子どもたちの目も輝かせるだろう。
(写真部次長 佐々木浩明)