うちのカミさんがあきれるほど、子どもの頃はヤンチャだった。通った幼稚園は宮城県北の神社の境内だったが、さい銭箱にどっさり落ち葉を入れたり、社殿の壁に落書きしたり。
 白髪が増えた今は信心深くなった。神様は信じてくれないかもしれないが、毎年この神社への初詣を欠かさない。取材で出会った東北の人たちの厳かな心掛けに、少なからず影響されたのだと思う。
 福島県飯舘村の山津見神社は、珍しいオオカミ信仰で知られている。人と神との間をつなぐ、聖なる使いとして敬ってきた。雪に覆われた境内のこま犬もオオカミだった。
 東京電力福島第1原発事故の痛手が今も癒えない村にとって、神社への信仰はよりどころの一つ。避難指示が一部解除されて初めてのこの正月、「参拝者で久しぶりににぎわいました」と氏子総代の菅野永徳さん(79)が喜んでいた。
 昔なじみの神社を拝む心は、古里への敬いにもつながる。年を経てそんなふうに感じるようになった。飯舘の人々の心中を思うなら、別のカミもぼんやりしていられない。お上と称されてきた国や県のこと。
(写真部次長 門田勲)